島本理生の本

今日は久しぶりに読書して過ごしている。
最近はビジネス書ばかり読んでいたので小説は久しぶり。

島本理生

私よりも年下の作家の本を夢中で読むなんて、昔は想像もしなかったのに。最近最も好きな作家は「島本理生」なのだ。綿矢りさ金原ひとみはわたしの好みとはあまりマッチしない。

わずか15歳でコンクールに入賞し、MVPになったというのだから、その才能に驚かされる。今でも彼女の「ナラタージュ 」はとても好き。けれど、この間ずらりと並ぶ彼女の作品を見つけて驚いた。こんなにもたくさんの本を書いていたんだ・・・、と。

今読み終わったのは新人賞を取った「シルエット 」、「波打ち際の蛍 」「君が降る日 」。あと「あなたの呼吸が止まるまで 」が残っている。

以前読んだ「リトル・バイ・リトル 」はあまり好きではなかったけれど、今回の作品はとても彼女らしいと思ったかも。繊細でナイーブで臆病、でもとても優しい。そういう文章だと思う。正直どの話も似ているように感じたのだけれど、でもわたしはあの触れたいのに触れられない、みたいな繊細さが好き。

2001年当時高校生だった彼女が「シルエット」のあとがきで書いた文章はすごく印象的。ちょっぴり引用。

 

あとがき

私が小説の中でなによりも書きたかったのは、ずっと一人だけで守ってきた心の中に初めて他人という存在が深く関わってくるときの感覚や気持ちだったのだと、今、あらためて思う。他人を受け入れるときに伴う違和感や抵抗感。そして受け入れた後に生まれる新たな感情を。

一人でいることは、なんだかんだ言っても、やはり楽なことだと思う。他人に何かを期待しすぎたために失望することもないし、自分を否定されることもないのだから。

他人というのは異物だから、絶対に溶けあうことがない部分がある以上、深く受け入れようとすると、どうしても苦しまなければならない。

その息苦しさや、それでも誰かを強く必要とする気持ちをこの本から感じ取っていただけたら嬉しい。

 

そうか、どうするとこんな文章が高校生にかけるのだろうか、と首を傾げてしまう。天才のように思える。わたしなんてつい最近こんなことに気がついたというのに。ああ、とわが身を振り返って少し落ち込んでみたりもするけれど、ぷるぷると顔を振る。べつに小説で勝負することもないじゃない、と笑ってまた本に戻る。

たまにはPCの前を離れて、どっぷりと読書する土曜日は愉しい。幸せかも。

追記。「あなたの呼吸が止まるまで 」はあまり好きではなかった・・・。(笑)

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