リストランテ ラ・バリック トウキョウ [イタリアン/江戸川橋]
7時ちょっと前にお店に着くと、そこは心地よい静寂に包まれていた。
まだお客さんは私の前を歩いていた数名しかおらず、私の席からは1Fのすべての席が見渡せて、そのひとつひとつが実に良くできたバランスで和と洋、洋といっても古きよき明治時代のような趣きを持っている内装はセンスのよさを感じさせた。
とりあえず、スパークリングを片手に今日のお相手を待つことにした。このひとときが実は好き。
お料理のコースは全部で3つで6500、8500、12000円。
私たちは「ラ・バリックコース」の8500円を。それにグラスワインで行くことにしたのでした。予算の目安は10%のサービス税なのでおそらくひとり15000円前後というところでしょう。
アミューズでキャベツとベーコンを炒めたものをパンではさんだプチロールがでてきた。予想外でかわいいし、おいしい。
次は、あなごのカツレツ。甘酸っぱいソースで。
熱々のカツレツをふたつに割って、口の中に入れるとちょこんと乗ったトリュフの味が際立つ。衣は実に薄くて、スパイシー。カツレツの下にはトランペット茸のニョッキが隠れていて、もっちりとした食感とのバランスが良い。
冷たい前菜はリストの中から好みのものを選ぶ。
店主の坂田さんが笑顔ですらすらとよどみなくお話してくださるので思わず聞きほれてしまい、あれっ、あれってなんだっけ?となる。わたしはいろいろな豚の部位をひとつにまとめた生ハムのようなものをチョイス。そんなに塩分が強くなく、また箇所によってお肉の味わいが違っていて、非常に面白かった。
温かい前菜は鮑を蒸したものを肝とバルサミコソースで頂く。いろいろなものがあって、うーーーむ、と悩むのもまた楽しい。鮑は上質のもので、とにかく柔らかく、香りが良い。ソースも実に品よくまとめられていて、やさしい味がした。
パスタのリストを見ながらどれも心惹かれたのだけど、坂田さんの話を聞くうちに、リゾットを食べてみたい衝動に駆られ、イカ墨のリゾットを選択した。コレが大正解。
リゾットの固さが完璧。またイカ墨の癖を残しながらもあっさりとした仕上がり、また結構塩味がきちんとつけられていて、ドンッと来る。前菜はどちらかというと、とてもやさしい味付けだったので、このタイミングでしっかりとした味に出逢えたのは嬉しかった。あおりイカを軽く炙ったものも食感がよく、おいしい。
メインは蝦夷鹿。北海道で腕のいい猟師さんがしとめたものだそう。お皿が目の前に届いて、驚いた。お肉が実に絶妙な火加減で差し出されたからだ。口に入れてみると肉の繊維の細かさとジューシーさが完璧。そして癖がまったくない。一緒に添えられたレバーの濃厚な食感とハートの部分のカツレツも完璧なバランスを持っている。間違いなく、今まで食べた中で一番。うなる。うー、すごい。
しかもすべてが品よく仕上げられている。
一緒に選んだグラスワインも秀逸で、一部干したぶどうを使ってワインを造っているので香りにほのかな干し葡萄の香り、けれど全体のバランスは実にキリリとしていてメインにぴったり。ワインのセレクトもまたすごいのだった。
おなかがいっぱいで苦しいよぅ、と言っていたのだが、それはまたそれ。
迷って選んだのはショコラのジェラートにオレンジソースを利かせたもの。このオレンジの付け合せがびっくりするほどおいしい。ごく薄く切られたオレンジを飴でコーティングしてあるのだけど、どうしたらこんなに薄く、またパリッとした食感に仕上げられるものか・・・またショコラのデザートというと重くなりそうなのに、これは非常にあっさりとしていてよかった。
美しいカップで丁寧に入れられた紅茶も予想以上だったし、プチフールも結局おしゃべりしながら平らげてしまったのだった。ああ、おそるべし、乙女の胃袋。
非常に心地よく、また再訪したいと思うようなレストランに久しぶりに出逢った。
次回は振袖なんかで来ても楽しめそうだし、とっておきのお客様と来よう、と決めたのだった。
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